2006年05月11日

明日の記憶

asitanokioku.jpg

以前、荻原 浩著の同名の原作「明日の記憶」を記事にしたことがありましたが、いよいよ映画が公開になりましたね。
公開にさきがけ、試写会にて鑑賞して参りましたが・・・・
主人公が若年性アルツハイマーという病に侵される恐怖の点では、『ケイゾク』『トリック』の堤幸彦監督が、映画ならではの映像で主人公の迷い込む病の世界を見せきり(怖)、
渡辺謙が、この作品にかける情熱の大きさにも納得の体当たりの熱演で主人公を演じ、そして原作でも感じた、実は素晴らしい夫婦の愛情の物語であるという点を、樋口可奈子が、優しく、凛とした主人公の妻役を見事に演じていました。

ということで、もう期待以上の作品で、何度も目頭が熱くなり・・・
こんな内容なのに、ふっと所々笑いを誘うシーンもありの、素晴らしい作品になっていました。


広告代理店の部長職を務め、仕事も充実し部下にも慕われる佐伯雅行(渡辺謙)は、一人娘梨恵(吹石一恵)のできちゃった婚も控え、公私共に忙しい毎日を送っていた。そんな50歳の誕生日を前にした日々の中で、最近頓に物忘れの激しい自分に不安を覚えた佐伯は、妻の枝実子に付き添われ、病院を訪れる。
そこで佐伯は、神経内科の医師から思いも寄らぬ質問を受け、意に染まぬ検査を受けることになるが、その後医師吉田(及川光弘)に、若年性アルツハイマーという診断を下される。まさか自分が・・・思ってもみない病気に、混乱し怒りと不安に押しつぶされそうになるが、枝実子はそんな雅行の手を取って「いつまでも私が側にいるから・・」っと言うのだった。
それが夫婦二人の、病気との戦いの一歩であった・・・。


以前にもアルツハイマーをテーマにした邦画は、年老いた母親のアルツハイマーによって、一旦は崩れかけた家庭を再生していく家族の姿を描いた感動作の『折り梅』などがありましたが、ここへ来て様々なパターンで記憶を失う主人公を描いた作品が出てきて、若年性アルツハイマーでは、韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』なども記憶に新しいところ。
でも以前の作品に置いては「自分の身近な人が、こんな病気だったら・・」っと思う、ある意味他人事であったものを、
主人公自身の視点で描かれたこの『明日の記憶』は、まさに他人事であった病気が自分を蝕んでいく恐怖を、言わば観ているコチラが自分のこととして疑似体験できるような作品。
原作でも充分に恐怖を感じましたが、映像として観る恐怖は、またそれ以上に強烈なのです。
ただ、そりゃ堤さんやり過ぎ!ってシーンが一箇所私的にはあった気がするのですが・・・・(^^;ヾ
それはともかくも・・・
だいたいが、ある年齢を経れば、思い当たる度忘れ、物忘れ・・・。(爆;)
も〜私なんか原作から映画から・・・「桜・電車・猫」って、ずっと言ってますから・・・(謎爆;)

渡辺謙は『SAYURI』を撮っている頃、この原作を読んで、是非映画にしたいと熱望したようですが、
本当に見事な真に迫る演技で・・・
とにかく広告代理店の部長ってことなんですが・・・仕事では、腰が低ぅ〜〜〜い!(^^;
あの長身の立派な背格好を、何だかいつも二つに折りに曲げている感さえしました。
そんな仕事人間であった主人公の退職までの職場でのエピソードも本当に胸に沁みます。
そして一人娘の結婚式。(涙)
支えあって暮す夫婦でも、お互いにぶつけ合う苦しい気持ち。
陶芸との出会いによる数々のエピソード。
そして、抑えていた妻が見せる涙に、穏やかな思いに包まれるラスト。

本当の認知症の方の日常に比べれば、美化されている点は当然あると思えますが、
それを割り引いても、観る価値のある素晴らしい作品であったと思います。

posted by ラクサナ at 09:46 | Comment(11) | TrackBack(2) | 2006年 5月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
おお・・そうでしたか〜
観るの迷っていましたけど、ラク様の感想伺って俄然今週の鑑賞作品に浮上して参りました!! 観たらまたお邪魔しますね^^
Posted by マダムS at 2006年05月17日 09:41
お久しぶりです。真音の子守り??&仕事でブログもお休み状態だったのを、又マイペースで始めました。
私もこの作品は事務所のみんなと見に行こうかと思っています。何故か知り合いのケアマネが「いっしょに、認知症の研究をしよう!!」などと燃えておりまして[Em140]
見ましたら私なりの感想を書いていこうかと思っています。
Posted by ずも母 at 2006年05月17日 20:52
[Em148]マダムSさん
おお、迷っておられましたか!?
是非ご覧になってみてください。
謙さんの意外にも日本映画初主演作です。
この作品に向けた彼の熱意が凄く伝わってくる演技でしたよ。
マダムの感想を楽しみにしております♪

[Em148]ずも母さん
いや〜コチラこそご無沙汰しております。
真音君大きくなられたでしょうね!^^
ずもさんはお仕事柄また認知症の方々に対してのいろいろな思いをお持ちだと思います。今朝もNHKで認知症の方々の特集をしていましたが、50歳前で発病された男性、経営していた会社も辞め暫くは鬱の状態でいたけれど、簡単な作業の仕事を始められ、会社にも周囲の人たちにもありのままを知らせ、理解を得て再出発されているご様子。やはり側には、一番の理解者である奥様がいらっしゃいました。高校時代はロックバンドを組んでいたとかで、想い出の曲グランドファンクの“ハート・ブレイカー”を聴いていると、熱くなるのだとか・・。認知症の告知を受けても、これからも楽しい想い出をドンドン作っていきたいという言葉に、感銘を受けました。
ずもさんのこの映画の感想も楽しみに・・
またブログの方へお邪魔します!^^
Posted by ラクサナ at 2006年05月18日 00:01
こんにちは〜
そろそろお帰りかと思い、お邪魔しました〜
観てきましたよっ!「桜・電車・猫」笑
いや〜泣きました泣きました!!映画としてどうかというと欠点もあるのかもしれませんが、なんといっても他人事とは思えず完全に感情移入してしまったせいかと思いますが・・我々にほとんど近い年齢の夫婦の話ですものね 夫も一緒に行ったんですが、珍しく何度もハンカチのお世話になっておりました。 ラク様の一押しありがとうございましたー♪
Posted by マダムS at 2006年05月21日 08:51
[Em148]マダムSさん
マダム、ご覧になられたんですね!?
早速にコメント有難うございました。
そうなんですよね、人事ではない世代のお話で・・
仕事もあぶらが乗り切って、これからもう一頑張り!その後は、ゆっくりと人生を楽しむご褒美を期待しても罰はあたらない年齢なのに・・・[Em143]
専業主婦であった妻が、夫の介護と自身の自立も目指していく姿は、何だか身につまされました。。。
謙さんの力演にも泣かされて、その恐怖の映画としての表現力にも参りましたです。
ご主人もご一緒だったんですね!
ウチの旦那も原作は読んでいますので、非常に観たがっておりますので、タオル持たせて映画館へ送り出そうかと・・・!^^;桜・電車・猫・・・まだ言えた(爆;)
Posted by ラクサナ at 2006年05月23日 16:58
皆さんの感想を読ませていただいて、観てきました。
いやぁもうずーっと胸が詰まる思いをして見ていましたし、涙が自然と溢れてくるのを抑えきれないって感じです。
医師から宣告されたとき、奥さんの献身的な姿、周りの皆のあたたかい言葉、結婚式での挨拶、夫婦のぶつかり合い、そしてラストの涙。
若年性ということで体はまだまだ元気なのに、脳が萎縮してしまうということが、本人にも家族にも辛いことだということが良く解りますが、どうにもならないというところがもうなんとも言えず辛いです。
桜・電車・猫...実は私もその時「なんだっけ?」と思っちゃいました。なんとなく不安な私です。(ドキドキ)
Posted by アンパンまん at 2006年05月29日 23:36
[Em148]アンパンまんさん
そんな〜アンパンまんさんまで不安になられては、私なんか冷や汗もんですわ!(笑;)
「今日は何日?」って言われると、時々即答できない私・・。(^^;
この作品でも、韓国の消しゴムの方でも、担当の医師が同じ認知症の身内を持つ身であるということも、何だか応えました。(・・。
何とか進行を止める新薬や治療法が見つかるといいのですが・・・桜・電車・猫・・・。(ドキドキ ーー;)
Posted by ラクサナ at 2006年05月31日 10:32
お邪魔します〜。本日見てきました。
いやー、これ思っていた以上によかったです。
堤監督作品があんまり好きじゃないので、どうかな?と思っていたのですが、皆さんの感想を見て、見に行ってよかったです。上映中、あちらこちらかすすり泣く声がしていました。(私は泣かなかったけど^0^)重厚なテーマを淡々と描きつつ、深い夫婦の物語でしたが、なんだか他人事に思えませんでした。アルツハイマーという病気は老人の病気という認識は変えないといけませんね・・・ラストも潔くて切なく静かな感動に包まれました。
Posted by mei at 2006年05月31日 21:46
[Em148]meiさん
ご覧になりましたか!
早速コメント有難うございます。
meiさんの世代の方にも感動を与える作品と知って嬉しいです。
そうなんですよ〜私も堤監督の作品って、あんまりツボにはまらないんですよね。
この監督って愛知の出身で、旦那が若い頃存じておるようなんですけど・・ハッキリ言って監督とも同世代です。(^^;
今回の作品は沁みましたです。
この夫婦の姿にも、年齢から仕事関係でのエピソードも、本当に他人事ではない思いでした。
実際この病に侵されると、当初は心の問題が非常に大変だと思うけど、やはり一日一日・・・それでも人生は終わらないわけで、後で思えば思い出は続いていくんですよね。(涙)
冒頭とラストのシーンは、原作には無い部分でしたが・・静かな人生の余韻が残る、私もいいシーンだと思いました。
Posted by ラクサナ at 2006年06月01日 13:03
私もやっと観てきました。
『消しゴム』の時もそうでしたが、こういう映画を観ると凹むんですよ…
これはまた、自分がなってしまったら、という恐怖とともに
まわりの大切な人がなってしまったら
自分はどれだけ支えることができるだろうか… と考えさせられました。

ミッチー医師のテストの「桜・電車・猫」と
「ハンカチ・コイン・腕時計・ペン・名刺」が並んだ映像は
ずっと忘れられなくなりそうです(笑)
Posted by Ako at 2006年06月03日 22:21
[Em148]Akoさん
ぎゃ〜「ハンカチ・コイン・腕時計・ペン・名刺」の並んだ映像、ありましたねぇ〜!映画観ながらマジで覚えようとしている自分が怖い!?(^^;
人事ではない、この病。
本当に考えさせられますねー。
こんな作品をずっと忘れずに、健康で年を重ねていきたいものですね。^^
Posted by ラクサナ at 2006年06月05日 00:56
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明日の記憶/堤幸彦
Excerpt: 人が存在する理由、それは必要だと言ってくれる人がいるからだと思います。この映画は、若年性アルツハイマーに犯された佐伯雅行という人物(渡辺謙)が、妻(樋口可南子)に支えられながら、病気を受容して生きて行..
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Tracked: 2006-06-09 01:49

『明日の記憶』
Excerpt: 「あなたと生きる」     俺が変わってしまっても、  俺が俺でなくなってしまっても平気なのか?                                   私が、       ..
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