2006年08月03日

ローズ・イン・タイドランド

TIDELAND -1.jpg

ミッチ・カリンの小説「タイドランド」をテリー・ギリアム監督が映画化した「アリス・イン・ワンダーランド」をベースにした、“裏・不思議の国のローズ”みたいなダーク・ファンタジー。

いや〜待ってました!って感じで・・・
あのミョウチクリンな睡眠薬入りの・・兄弟の童話製作話(^^;の撮影の間にも製作が進んでいたと聞く今作。
比べれば大作とは言えなくも、アブノーマルで一度見たら忘れられぬようなシーンの数々・・・。
KINGDOM HOSPITAL.jpgテリー・ギリアムらしい“アリスの世界”を堪能できました。
全くもって・・パワフルで刺激的exclamation
それにしてもR−15指定の作品は、ヒロイン、ローズを演じる11歳のベテラン子役ジョデルちゃんの独壇場!
『サイレント・ヒル』は未見ですが、この子はどっかで見てると思ったら・・・
S・キング版の『キングダム・ホスピタル』の、あの女の子なんですね〜!モバQ

観る予定になかった『サイレント・ヒル』まで・・・
気になってきました目たらーっ(汗)

TIDELAND -2.jpg

元ロックスターだったパパのノア(ジエフ・ブリッジス)と、ママのグンヒルド王妃(ジェニファー・ティリー)と暮らす、まだ10歳のジェライザ・ローズ(ジュルジュ・フェルランド)。彼女ははジャンキーな両親の面倒をみて、学校にも行かず同年齢の友達もいないが、「不思議の国のアリス」のお話が好きで、バービー・ドールの首だけの4人のお友達と、独特の想像の世界で遊ぶ少女だった。
ある日も又ローズは、パパがクスリで“バケーション”に入る手伝いをしていたが、次の日、何とママの方がオーバードーズで急死してしまう。ノアはグンヒルドの葬儀をローズと二人で済ますと、ローズの祖母の住んでいた家へ向かうが、金色の草原の中にポツンと立つ家には、もう既に祖母は無く、荒れ果てた廃屋と化していた。


ベースにあるルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が、ローズを空想の世界へ導入していく仮想の部分と同じくらい、現実の世界も仮想味を帯びていて、もう何が現実なのか判らない・・・がく〜(落胆した顔)
過酷な状況・・とはいえ、その中にあって暮らす子どもにとっては、ごく普通の日常。
それを平静に生き抜くために、独りの少女の心と頭の中が何を創り上げていくのか・・・・
非常にすっ飛んだ話ではあるけれど、この空想の世界で遊ぶローズの姿と目線には案外すんなり入り込める気がする。
まるで白昼夢のようなその世界観は非常に際どく、コチラとしてはローズの遊ぶバービー人形の髪の毛を飲み込んだかの如く、腐臭漂う悪夢のようなシーンの連続に何ともいえぬ思いがするのだけれど、何故か魅せられる・・・。ぴかぴか(新しい)
ただの着せ替え人形にローズが命を与えるのは、やはり首だけだからこそという“バービー・ドールの首だけとお友達”という設定も非常に面白く共感できる気がする。


TIDELAND.jpg

舞台となった金色の草原の世界観は、監督が画家アンドリュー・ワイエスの『クリスティーナの世界』を、一番に思い浮かべて造り上げたとされていて非常に牧歌的だが・・・
タイトルの“タイドランド”は“干潟”という意味で、海岸で潮がひいたときに現れる砂泥底、潮汐による海水面の上下変動により、時間によって陸地と海面下になることを繰り返す地形とのことらしいのだが、この作品ではそんな風景は無く、ローズの幻想と現実を繰り返す世界観を示すタイトルなのかも・・・。

christinas_world.jpg
       「クリスティーナの世界」

パパ役のジェフ・ブリッジスが中盤から動かぬ人となってもまたコレ以上ないくらいの当たり役。(笑;)
監督はローズのママには、コートニー・ラブをイメージしていたそうだけど、ジェニファー・ティリーだとは驚いた!(あの特異な高音の声を全く発していない)
終始不気味な剥製製造業!?の魔女紛いなデル役のジャネット・マクティアも見事。(この人『歌追い人』の先生役してたんだわ〜! 驚;)
そんな、この物語に出てくる大人たちは、精神年齢の低いデルの弟ディケンズは勿論、誰もが何かに依存して生きているようで、それはドラッグだったり、剥製にして大事な者を永遠に傍に置きたいという行為だったり・・・。公式サイトにあるテリー・ギリアムが一番ジェライザ・ローズに近い大人なんじゃないかというスタッフの意見も頷ける・・・。(笑)
そして、やはりローズを演じるジョデル・フェルランドの魅力というか、存在感というか、演技というか、その物凄さに圧倒される。
(余計なお世話かもしれないが、この子大丈夫かいな? ふらふら

愛情はあったかもしれないが、親としての義務は果たせないまま突然いなくなった親。
そうして・・・たった独りになった子供が、果たせるかな次なる養育者に巡り合うまでをローズの心の目線で描いたお話と思って良いのかな・・・。
2時間近い上映時間がちょっと長い気はするけれど・・・そうしたラストのとんでもない結末が物語にちょっとした現実味を与えていて、なるほどな〜っと鑑賞を終える・・。

元々子供の頃から私も『不思議の国のアリス』の、ファンタジーというより、奇妙奇天烈な毒々しさや子供の傲慢さが描いたような世界観が好きだったので、このテリー・ギリアム版のアリス=ローズの物語はお気に入りになりそう。

それにしても・・・この作品のローズが創造する悪夢のような世界よりも、もっと現実の一部の子供たちの世界は、想像を絶する過酷さなのかもしれない・・・なんてことが少し頭をかすめたりもする・・・。

posted by ラクサナ at 17:49 | Comment(8) | TrackBack(3) | 2006年 8月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
えーー!『キングダム・ホスピタル』のあの女の子って
一番上の写真の女の子と一緒なんですか!?
『キングダム…』のこの写真、めちゃめちゃ怖いですよね[Em142]

で、この子が『サイレント・ヒル』の可愛い娘なんだ… びっくり。
『サイレント・ヒル』是非ご覧になってください(笑)
劇場で見ると、ガッカリ…だけど
お家で鑑賞するなら楽しめるかもしれませんよ。
Posted by Ako at 2006年08月08日 08:48
そうかぁ、ラクサナさんはお気に召したようですね。私は、気分が引いちゃった方です。
ジェライザ・ローズが無邪気に遊んでいる時はまだしも、親が子供ににドラッグの用意させるとか、死というものを理解できないこととか、剥製となった父親と暮すだとか、猟奇的にも感じましたよ。
そして(ある意味)純粋なままのジェライザかと思っていたら、ラストで見せた顔というのか態度がヒネた感じがして「何でここで?」と思ってしまいました。色々なことがあって、ジェライザの性格が、また少し角度が変わったという表現なのでしょうけども、アリスを模しているなら、あくまでも純粋なスタイルのままでいてほしかったですな。

私はやっぱり「バロン」とか「ブラザーズ・グリム」のような御伽噺的なファンタジー作品の方が好きなようです。
Posted by アンパンまん at 2006年08月09日 23:46
[Em111]Akoさん
そうなんですよね〜ジェライザ・ローズ演じるジュルジュ・フェルランドちゃん。
お人形のような顔立ちが又ミステリアスに、危なげに、可愛くって・・コチラのテリー・ギリアムの作品はおススメです!^^

『サイレント・ヒル』は、やはりDVDで観る事にしますね。(^^;

[Em111]アンパンまんさん
おっと、アンパンまんさんはこの作品ダメでしたか!?
お気持ちはわかる気がしますが・・・
案外子供って本能のまま・・特に女の子は、無邪気さと裏腹に、計算高さや邪悪さを持っていると思うんですけど、如何でしょ。そんなものも含めて可愛いなと思える危ないジェライザ・ローズちゃんのその後には、私も一抹の不安を感じますけれども・・・!(^^;

Posted by ラクサナ at 2006年08月10日 16:26
ギリアム監督だからきっとキモいと覚悟して見に行きました。予想通りでした。(爆)
この女の子、こんなキモい役をこなすなんて、やっぱりすごい。
ジェフ・ブリッジス、最初は死体は人形の予定だったけど、彼が自分がやると言ったそうですね。わたしは彼の演技にも感心しましたわ。
Posted by MACHI at 2006年08月10日 20:13
観て参りましたよ〜
 >愛情はあったかもしれないが、親としての義務は果たせないまま突然いなくなった親。そうしてたった独りになった子供が、果たせるかな次なる養育者に巡り合うまでをローズの心の目線で描いたお話と思って良いのかな・・・。

そうだと思いますよ〜
なんだか途中でとってもこの子が不憫に思えてきちゃって。。最後はほっとしましたです。
それにしてもこの子役の子、末恐ろしいですねぇ〜大人顔負けの熱演でしたね。
ラクサナさんの感想をチェックしてから出かけたお陰さまで、ジェニファー・テイリーだと解ったです(笑)そう言われてみれば”あの声”だと思ったし、知らなかったら気がつかなかったす!
Posted by マダムS at 2006年08月11日 12:50
[Em111]MACHIさん
私も、主演の女の子と共に・・・
あのジェフ御大のおデブなロックスター姿(これは似合うと思ってましたが・・・笑;)、とんでもカッコきもい死体姿には感嘆致しました〜!
カレ、喜んでやってたんじゃないですかね?(笑)

[Em111]マダムSさん
私も、あのラストには、ちょっと納得と安心をして、後味は決して悪くないダークファンタジーという印象になりました。^^
私は、ジェニファー・テイリーが出演していることは知っていましたが・・・
すっかり忘れていて・・・ちゃんと気がついたのはエンドロールで確認した時でした。(^^;
主演のジョルジュちゃんも凄かったですが、さすがギリアムさんの作品、脇役もなかなかの俳優ばかりでしたよね。
Posted by ラクサナ at 2006年08月12日 09:29
いやー、私は悪趣味な映画と覚悟して観に行ったら、意外と想定範囲内の悪ノリぶりでした。
だから、ファンタジーとして、ワクワク楽しんじゃいました。
(もっとえげつない展開があるのかとドキドキしたけど、そうではなかった・・・。)
チャリチョコの子どもたちも根性悪くておもしろかったし。
と、私はやっぱりギリアムやバートンが好きなんです。
ラクサナさんも気に入られたとのことで嬉しいです♪
Posted by かえる at 2006年08月13日 23:47
[Em111]かえるさん
さすが、かえるさん・・・想定範囲内!?
ギリアムワールドも今回は十分堪能できた上で、やはり可愛い作品、趣味は決して悪くなかったですよね!^^;
私もこういう曲者ファンタジーは大好きです[Em137]
これからもギリアムやバートンの作品には、目が離せませんよね!^^
Posted by ラクサナ at 2006年08月16日 10:51
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『ローズ・イン・タイドランド』
Excerpt: この娘。。あまりに不憫で途中でやり切れなくなった。。 一応R-15指定が付いてはいるものの、夏休み期間中公開はまずくないですか? 2005年 イギリス/カナダ 監督/脚本: テリー・ギリアム ..
Weblog: Brilliant Days
Tracked: 2006-08-11 12:45

『ローズ・イン・タイドランド』
Excerpt: 期待通りのギリアム・ワールド。 美しくもアヤしいアリス体験をありがとう。 不思議の国のアリス」が大好きな10歳の少女、ジェライザ=ローズの物語。畏るべき子役、ジョデル・フェルランドちゃん。『サ..
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Tracked: 2006-08-13 23:40

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