2006年08月22日

ハイジャックフライト93&フライト93

HAMBURG CELL.jpg   FLIGHT THAT FOUGHT BACK.jpg

『ユナイテッド93』を劇場鑑賞した後日、新作レンタルとなっていた、93便のテロリスト側の過去5年間を描いた『ハイジャックフライト93』と、実際のボイスレコーダーや電話での乗客の声、遺族の方々の語りを含めて93便の悲劇を再現した『フライト93』を鑑賞してみました。



『ハイジャックフライト93』

hamburgcell.jpg

『ユナイテッド93』でも同じ人間としてのスタンスで描かれていたテロリストたちの“9,11”に至るまでの5年間を描いたイギリス製作のTVM。

あの同時多発テロの後、数々のニュース報道で、テロリストたちがアメリカで航空機の飛行訓練を受けていたことを知りましたが、そんな中で、ユナイテッド93を乗っ取ったテロリストの1人、ジャラという青年。
彼は敬虔なイスラム教徒でもなく、裕福なレバノン人の両親の元、カトリックの学校に通ったこともあり、留学先のドイツでトルコ人の美しい女性と愛し合うという、ごく普通の留学生であったにも関わらず、どうしてジハードを狂信するようになったのか・・・・そんなジャラという青年にスポットを当てた、なかなか興味深い内容の作品でした。

留学先で、ある人物の勧めを受け、イスラム教の信者でもなく、裕福な家庭の出身でありながらも、モスクに通い出だすジャラ。
そして次第に過激派のアルカイダの集まりにも参加していく彼。
集会では、同じコーランを唱えるものの、レバノン人の彼に反発するパレスチナ人の青年がいたりもして、段々と彼が過激な思想に傾倒していく課程は、彼の若さか、生まれ持った血がそうさせるのか、正直日本人の私には分かりませんが・・・
アルカイダが、アラブ系の、それも高度な教育を受けて裕福な家庭で育ったジャラのような若者を自爆テロへと引き込んでいく必要性があったことは明確。
実際、ジハードと称して自分や他の人の命を亡き者にする自爆テロは「イスラムの教えに無い」として集会から追い出される青年もいたりするのだけれど、それを部屋の片隅でやり過ごし、婚約者にも嘘をつき狂信してゆく彼には、「何故?」という思いと漠然とした諦めに似た境地しか見当たらず、やりきれない。
後半フロリダで操縦訓練をするジャラが太陽が降り注ぐビーチで、当然飲酒は罪とされる行為で、後にテロ仲間から非難を受けるのだけれど、差し出されたビールを美味そうに飲み干すシーンが印象的。その時何を思ったのだろう?
9月11日の朝、空港の電話で何度も「愛している」と婚約者に告げるジャラの姿を、何とも空虚な気持ちで見つめるラストでした。


『フライト93』

FLIGHT THAT FOUGHT |??.jpg

冒頭流れる・・・

「一本早い8時の便に乗るからサンフランシスコには11時頃に着くわ」
心配は無用だ。へたに動けばケガをするぞ・・・
「ユナイテッド93便、爆弾か?」
「ハイジャックされた、頼む、助けてくれ!これは自爆テロだ」

実際に録音された乗客やテロリストの声から始まる今作には、冒頭から驚愕させられます。
『ユナイテッド93』とは違い、面々と事の次第や詳細を説明してくれるナレーションは、あのジャック、じゃなくって・・・(^^;キーファー・サザーランド。彼もオファーがきたら引き受けざるを得ない思いにかられてのナレーション出演だったと思います。

この作品は、『ユナイテッド93』でもそうでしたが、本当にご遺族の方の大きな協力で製作されていて・・・
実際に愛する家族が、あの同時テロに巻き込まれた切々たる思いが、ご遺族の語りかけからよりいっそう胸に沁みます。
生前の写真やビデオ等から、再現ドラマに登場する乗客たちを演じるのが、非常に似ている俳優たちを使っていることも印象的でした。
コチラも数々のリサーチや真実から成されたドキュメンタリーで、何よりもご遺族の気持ちや視点を大事に、ご遺族の為にも作られていることが伝わる作品でした。


そんな訳で、93便にまつわる3作品を鑑賞しましたが・・・・
結果は彼らの命を奪ってしまったけれど、同時テロの後、いろいろなメディアでも報道された、唯一テロリストたちに抵抗を試みることができたとされる、生きることへの希望を捨てずに闘った乗客たちの勇気を描いた作品に・・・
真実を描いた作品であるのに、いつものハリウッド映画のようなハッピーなエンディングを渇望してやまない思いにとらわれました。

そして、彼らのそんな勇気ある行動には、それ以前で何の情報も得られなかった他3機、ワールドトレード・センターやペンタゴン等で望まずもテロリストの目的達成の為、命を落とした犠牲者の方々の魂があったことを思わずにはいられませんね。



この記事へのコメント
前に話したとおり、レンタル店が少し離れているので
一週間レンタルになったら借りてきますね。
(だいぶ後になるでしょうけど^^;)

事実を描いた作品であるのに、ハリウッドのようなハッピーエンドを…
この気持ち、すごくわかります。
私も『フライト93』の映画を見ながら
どうしようもないんだけど、ずっとそう願ってしまいました。
Posted by Ako at 2006年08月26日 18:29
↑映画『ユナイテッド93』の間違いでした(^^;
Posted by Ako at 2006年08月26日 18:30
感想あげて下さったんですね〜〜有難うございます!!
ラク様、何か憑かれたように観てしまったのね〜〜3作品鑑賞お疲れさまでした!
やはり「フライト93」で操縦してた青年が、「ハイジャック〜」の方で描かれた裕福なレバノン人青年ということですね?
なんだかやりきれないですね〜親御さんの気持ちもさぞやと思うとたまりません。
ハッピーエンドであって欲しいと、思わず叶わぬ思いにとらわれたラク様の気持ちもわかるような気がします。
秋にはドラマ仕立てのニコちゃん映画も公開されますが、そちらも観てしまいそうです。

Posted by マダムS at 2006年08月26日 22:15
[Em37]Akoさん
そうですよね〜!
本当に冷静には観られず、思わずハッピーエンディングを渇望してしまった『ユナイテッド93』・・・。
そしてコチラのDVD2作品も、事実に基づく
本当に良く作られた作品でした。
一週間レンタルになりましたら、又ご覧になってみて下さい。

[Em37]マダムSさん
なかなか観る前は辛いものがありますよね・・・でも観始めると、そうも言ってはおられぬ事実の持つ重みに、やはり深く考えさせられてしまいます。

>やはり「フライト93」で操縦してた青年が、「ハイジャック〜」の方で描かれた裕福なレバノン人青年ということですね?

そうなんです、そして『ユナイテッド93』でも、確か冒頭の空港で『愛している』と電話をするテロリストの1人、操縦桿を握る青年として描かれていたと思います。
アルカイダの集会では、恨みつらみは十字軍の頃までも遡るもので、狂信してゆく青年たちの誰もが自爆テロを殉教と称した、達成すれば神によって最高の地位が得られるという宗教的大義名文を信じてゆく過程・・本当にやりきれないですよね〜。

ニコちゃん主演の『ワールド・トレード・センター』は、オリバー・ストーン監督作ですよね。
コチラも当事者たち、救助の消防士のドラマを描いたものになるんでしょうか・・・共演の消防士役が、あの『クラッシュ』のマイケル・ベーニャというのも気になるところですよね。
Posted by ラクサナ at 2006年08月28日 01:15
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