2006年09月19日

狩人と犬、最後の旅

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フランスの著名な冒険家であり、作家であり、写真家でもあるニコラス・ヴァニエが、ロッキー山脈に生きる最後の狩人ノーマン・ウィンターと犬たちを主役に、その暮らしをドキュメンタリータッチの映画として作り上げた作品。

ニコラス・ヴァニエは、自らも犬ぞり冒険家として、今年の春に8000キロに及ぶ、ロシア横断の旅を犬たちと達成したのだそう。
何かもう、本物が本物を撮るという、素晴らしいの一言に尽きる作品。
ニコラス監督自身も、ロシア横断から帰って、
「犬たちがいなければ、この旅を成し遂げることはなかったでしょう。最大の感謝は、彼ら、愛する犬たちに捧げます」
っとコメントしたそうだけれど・・・

『狩人と犬、最後の旅』、自然の景観も素晴らしいけれど・・・
主演のノーマンに犬たち、自然と同化する本物たちの持つ、とてつもなく魅力的なイイ顔をイッパイ見られた・・・何とも素敵な作品。
そう、人間も自然の一部なんですね〜。

半世紀に渡り、カナダのロッキー山脈で罠猟を続け、自給自足の生活を続ける“最後の狩人”、ノーマン・ウィンター(himself)。ナハニ族インディアンの妻ネブラスカ(メイ・ルー)と、犬達と共に大自然の中で暮らしてきたノーマンだが、度重なる森林の伐採等で猟場を無くしてゆく現実に、今年限りでロッキーを去り、町に職を探す決心を固めていた。
最後の猟と冬を目前に控え、町へ買出しに出かけた彼は、ある事から子犬のシベリアンハスキーを知人から貰い受けアパッシュと名づける。
そして、まだ犬ぞり犬としては役にたちそうもないアパッシュを含めた犬たちと最後の猟に出かけるのだが・・・。


kariudotoinu-4.jpgニコラス監督が、カナダ北極圏全土を犬ぞりで100日間かけて横断する「ホワイト・オデッセー:8600キロ」という冒険の最中に、ノーマンと出合ったのだそう。実際の狩人だということもさりとて、これだけ魅力的な風貌を持ったノーマンに出会えば、映画人としては、その触手が動くのは当然のように思う。
刻みこまれた無数のシワにも、自然にたくわえられていく髭にも、何とも味わい深い魅力がある。
そして、犬たちの可愛さ、利発さ、その何とも言いがたい美しさ。
kariudotoinu-5.jpg妻であり、友人であり、頼りがいのある師でもあるだろう、ネイティブの妻、ネブラスカも実にチャーミング。
そう、この作品に出てくる人も動物も、全て自然の一部としての美しさを余すことなく魅せてくれる。
自然に媚びず、自らも自然の一部なのだから・・・っと語るノーマンの言葉に納得。

一応フィクションとして、実際にあった事などを題材としたストーリーがあるのだけれど、
もうストーリーは、どうでもよくなってくるんですよね、大自然の中の彼らを見ているだけで満足!
勿論熊との遭遇や、凍った湖での出来事などは、息を止めてしまうくらいの迫力あるシーンだけれど、それもノーマンの生活の一部として描かれ、決して大袈裟な演出でもないのが本物の持つ醍醐味なんでしょうか。

kariudotoinu-2.jpgちょっと気にかかったのが、音楽の使い方が絶妙に微妙なことぐらいかな?(^^;
“素敵なレディ”という意味深な詩の挿入歌やスコアなど・・・
なかなか盛り上げてくれるけれど、実は自然の音をもっと聴いてみたい気がしたりもするのです。

しかし、犬ぞりのワンちゃんたちには、ディズニーのリメイク版『南極物語』でも最近お会いしましたけど、
本当に魅力的ですね〜!
アパッシュ、ウォーク、リレイ、クルベット、ミニク、ノブコ、オット、プッシー、ロックス、ソーダ 、そしてナヌーク。犬
それぞれに名前があるごとく、性格も一匹ずつ違うのだけれど、皆イイお顔してます。
ノーマンとそんな犬たちとの仲も、人間とペットの関係とは程遠い、自然の中で共存する大事な仲間。
だからこそ、お互いを大事にするシーンに胸が熱くなるんですよね。
犬ぞりの猟というと、如何にも時代遅れな感があるけれど、決してそうではないこと。
スノーモービルという文明の利器は、燃料が切れる、故障する、崖をよじ登ることも困難、
狼からも身を守ってくれない・・・・年老いて犬ぞりが使えなくなった、そんな老狩人の言葉が印象深いです。
そして、この作品に登場するワンちゃんたちは、全て監督の犬ぞり犬。
すぐに打ち解けたというノーマンとの仲は、作品中のアパッシュとノーマンを見ているとよーく分かります。

ノーマンは狩人という天職に置いても、必要以上に獲物を仕留めず、自然の役割の一部だと称します。
本当に大らかで、普段都会人である私たちが「自然を破壊するのは人間だ」などと鼻息荒くする自己批判も、何だかこの作品を観ていると、思い上がりも甚だしい気さえしてきます。

さて、ノーマンの天職は転職となるのか・・・exclamation&question
彼の出した答えもまた大らかにして、心に沁みいります。

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posted by ラクサナ at 22:49 | Comment(5) | TrackBack(3) | 2006年 9月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
おはよーございます♪
俳優に転職しても十分OKな風貌ですよねぇ〜ノーマンさん! 
動物タレント事務所の犬ぞり訓練士とか・・
現役の狩人を引退しても困る事はなさそうですよね(笑)
もちろん自然と共に暮らせる場所でってことになりそうですけれども・・。
彼らの暮らしぶりを見ていると、ケバケバ化粧や衣装で身を飾らなければ美しくないと思っている自分達に疑問符ですよねぇ。
ワンちゃん大好きなのでそれだけで楽しめる作品でもありました(^^)v
Posted by マダムS at 2006年09月25日 07:21
私も先日観てきました。
ノーマンと奥さん、ワンちゃんたちが
大自然の中で生活している姿を見ているだけで
なぜか不思議と目頭があつくなってきてしまいました。
その上、前半早々から(ちょっとネタバレになってしまいますが)
どんな時でも一緒にいたワンちゃんが……
もうあのへんからずっとだめでした [Em143] 動物が出てくる映画には弱いです。

スクリーンで観ることができて本当に良かったと思える作品でした。
Posted by Ako at 2006年09月25日 17:30
[Em100]マダムSさん

ノーマンさん、クラプトン系のイイ顔してますよね。^^
以前、めざましTVで、ノーマンさんの素顔を特集してましたが、一年のうち半年は、製材所とかでお仕事をして、狩人を続けてみえるとか・・・引退したら俳優かな?(^_^.)うそうそゞ
二度の離婚歴(?)がおありのようで、又メイ・ルーさんのような素敵な奥さんができるといいですよね。
ワンちゃんたち本当に素敵でしたね。
真っ白な雪景色に、シベリアンハスキーのブルーの瞳が似合うことったら!ウットリしちゃいますよね。

[Em100]Akoさん

最初のあのナヌークの出来事は辛かったですよね。(TT)
アレだけは作り事であって欲しいです。

私も、ストーリーを追うというより、あの大自然の中での生活や冒険を観ているだけで、本当に涙が出てきました。
やはり、ああいう生活に憧れるというか、心が揺さぶられる・・・自分もチョッピリ自然の一部なんじゃないかと、嬉しくもありました。



Posted by ラクサナ at 2006年09月25日 19:09
こんにちは。
厳しくも美しい自然が本当にすばらしかったです。
大自然ものを好んで観ている私ですが、これほどの絶景にはそうそうお目にかかれませんもの。

そうなんですよねぇー。
都会で便利生活をする私達が「自然を大切に」に声高に叫ぶのって、ノーマンの暮らしを前にしては、傲慢なものかもしれません。はー
Posted by かえる at 2006年09月30日 12:59
[Em100]かえるさん

トラコメ有難うございます。
素晴らしかったですね〜この作品。
大自然の景観も冬だけではなく、始まり行く冒険の序章のような穏やかな春の自然も魅せてくれて・・・
その一部であるノーマンたちも、本当に素敵でした。
こんな本物の作品に出会えたことによって、私たちの暮らしにほんの少しでも何かを活かせることができるといいのですけど。本当に・・・はぁ〜(^^;
Posted by ラクサナ at 2006年09月30日 14:54
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