2006年10月04日

記憶の棘

BIRTH.jpg

失った夫の悲しみから10年の月日が流れ、突然10歳の少年が夫の生まれ変わりだと言って目の前に現れたら・・・
非常にミステリアスなストーリーかと思われたけど、それだけではなく・・・
何とも感情を揺さぶられるニコール・キッドマンの表情に、哀しみの限りを観る様な、なかなか味わい深い作品でした。


監督・脚本は、ジャミロクワイやブラー等、UKのMVやCMのヴィジュアリストとして活躍のジョナサン・グレイザー 。
共同脚本にジャン・クロード=カリエールの名もあって、フランス映画を観ているようなトーンもあります。

BIRTH -3.jpg愛する夫ショーンを襲った突然の心臓発作。
それから10年、美しき未亡人アナ(ニコール・キッドマン)は、悲しみが癒えるのを傍で待ち続けてくれたジョゼフ(ダニー・ヒューストン)との再婚を決意していた。
しかしその婚約披露パーティの夜、1人の見知らぬ少年(キャメロン・ブライト)が現れ、自分はアナの夫だったショーンだと名乗る。
初めは子供のいたずらだと、相手にしないアナだったが、夫しか知らないはずの秘密を話すショーン少年の言動に、しだいに心が揺り動かされていく・・・。




BIRTH -2.jpg何というか・・・・生まれ変わりに思えるのが小鳥や窓辺に咲く一輪の花だったら・・・
そっと涙を流しておしまいかもしれませんが、血の通った、それも10歳の少年ってのが、案外生々しい。
少年を演じるキャメロン・ブライトも、恐ろしいくらい早熟な演技を披露していて鳥肌ですが、これは2年前の作品になるから、調度10歳ぐらいだったんですね〜。
先に観た『X−MEN:ファイナルディシジョン』では、かなり大きくなっていた気がします。

その少年にかき乱されていくのは、アナだけではなく周囲の人々や婚約者のジョセフも同じで、人間の生々しい嫉妬や嫌悪をも露呈させることになります。

でも、この作品は全編にわたって、明確な説明の部分を省き、意図的に1人の人物の顔をアップでとらえるシーンなどを配して、それぞれの苦悩を観る者の想像や思いに委ねていきます。
特に、ショート・カットでその美しい顔に苦悩を浮かべていくニコール・キッドマンの表情をカメラが長回しで捉えていくシーンには、観ているコチラも様々な思いに囚われて何ともいえぬ気持ちにさせられてしまう。
最近観た作品の中でも、これは最も忘れがたいシーンだと思います。
やはり、ニコールは素晴らしい女優!

そして「少年は果たして本当に夫の生まれ変わりだったのか?」
その辺りの意外なエピソードも終盤盛り込まれてはいるのだけれど・・・
やはり明確な答えは、観る者に委ねて・・・

このニコール演じるアナの姿には、『まぼろし』のマリー、シャーロット・ランブリングを重ねてしまいますね〜。もうやだ〜(悲しい顔)
愛する人を失った悲しみは、時がたてば癒す事はできても、決して忘れる事はできないし、取り戻す事もできない・・・。
やはり、そんな人間の普遍的な哀しみや宿命が心にジーンとくる、素晴らしい作品でした。





posted by ラクサナ at 16:44 | Comment(9) | TrackBack(3) | 2006年10月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
試写会で、一ヶ月前に見ました。
ニコールの演技より、キャメロン・ブライト君にひきつけられてしまった、わたしです。(^^ゞ

最近、出演作の日本公開が続く彼ですが、「バタフライ・エフェクト」にも出演していたと知って、おどろきました。
Posted by MACHI at 2006年10月06日 11:38
[Em6]MACHIさん

結構馴染みのアル顔な気がしてましたけど・・キャメロン・ブライト君って『バタフライ・エフェクト』にも出たんですか・・!?

この作品では、お風呂のシーンんなんかもあったりして・・・[Em142];かなり目が点になりましたが・・・
次は『サンキュー・スモーキング』かな。
ポール・ウォーカーとの共演作もありそうだし、引っ張りだこですよね〜!
Posted by ラクサナ at 2006年10月06日 22:49
ニコール・キッドマンの、この涙をたたえたような瞳と、かすかに開いた唇には、男性でなくても魅きつけられますね。猛然と見たい気持ちになって来ます。
Posted by Bianca at 2006年10月08日 12:40
こんにちはー。
素晴らしい作品でしたよねー。
かなり気に入ってしまいました。
後味が悪いなんていう感想もみかけましたけど、スッキリはしない、せつなくやるせないからこそ味わい深いんですよね。
そうそう、私もラストは『まぼろし』のランブリングを思い出しました。
余韻ー
Posted by かえる at 2006年10月09日 13:07
[Em6]Biancaさん

この作品の、ニコールのお顔のアップシーンは是非ご覧になって頂きたいです。
ほんの少しずつ潤んでくる彼女の瞳の湖に、いろんなことをコチラも思い浮かべてしまって、あの数秒間に溺れそうでございました。

[Em6]かえるさん

こんにちは〜♪
私もコレはかなり好きですね。
そうなんですよね〜ラストのあの余韻ーーーには本当に心を揺さぶられます。
大事な人を失った心が100%癒される事は無く、いつまでも引きずって生きて行く・・やはりこの作品のラストそのものなんでしょうねー。[Em143]
Posted by ラクサナ at 2006年10月09日 15:51
これはニコールの美しさと繊細な演技が重さを持つ作品ですねっ!
あの音楽会でのニコールの繊細な表情の移り変わりはこの作品の圧巻ですよねっ!
素晴らしかったです!!
すっかり惹きつけられてしまいました。

最初、私はあの少年は彼女の夫の生まれ変わりか?それとも少年の嘘か?にこだわったけど、
後で考えるとそのことはそれほど重要ではないと思いました。
でも、あの大人びた、キャメロン君にじーと見つめられて、
「君の夫だ」と言われると、信じてしまいそうになってしまう、彼の目に威力を感じましたが・・・。
ストーリー重視のアメリカ映画らしから作品でしたねぇ〜。
Posted by 紫の上 at 2006年10月09日 23:24
[Em6]紫の上さん

本当に仏映画のように、ストーリーよりも叙情みタップリに描かれる人の気持ちの哀しみを、ニコールに魅せられる映画でしたね〜。
少年の生まれ変わりは重要なことでは無いにしても、私はそう信じる事で鑑賞を終えました。
クララの一件も微妙でしたが、人が生まれ変わるとしたら、一番大切な記憶のみが残るのではないかと・・・。
海辺でのラストシーンは、本当に切なかったですね。
Posted by ラクサナ at 2006年10月11日 00:16
予告編を観て、なんだかあの少年が気に食わなくて(つい最近WOWで観た「バタフライ・エフェクト」でかなり異常な少年役で印象悪し)パスしようと思ってたんですがー! ラク様や他のブロガーさんの感想を読んで俄然見たくなって行って来ましただ♪
いやいやすっかり美しい映像と音楽。。そしてニコールの感情表現の上手さに魅了されてしまいました〜。
しつこいですが、キャメロン・ブライト君!演技力はやはり評判どおり大したものですが・・もうちっと見栄えをなんとかして欲しかったかも衣装とメイクさん。。いがぐり頭はやめて欲しい・・
Posted by マダムS at 2006年10月13日 18:47
[Em6]マダムsさん

マダムもご覧になりましたか!
ん〜〜あの少年!?お気に召しませんでしたか?(^^;
ぽっちゃりしている割には、目鼻立ちが凄くしっかりしていて、何かミスマッチな雰囲気がありますよね。
どちらかというと、ホラー向きな気もして・・・(爆)

またベリーショートな髪型で、全てをさらけ出しても尚美しい・・・ニコールの表情には、ホント参りましたよね。
映像と音楽・・・言葉少ない作品でしたが、それだけに余韻の残る作品でした。
Posted by ラクサナ at 2006年10月14日 23:59
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