2006年10月10日

ワールド・トレード・センター

worldtradecenter.jpg

さて、続々と公開される9.11を描いた作品の中では、オリバー・ストーンが、およそらしからぬ作風で作り上げたとされる『ワールド・トレード・センター』ですね。

実話を元に・・・生死を分けて・・・助けられる男たちと、助ける男たち。
あの日のワールド・トレード・センターで起きたほんの一部の善と希望を描き出していました。
助けられる二人の男たちも、実は助ける側であったことから、以前観た「911同時多発テロで犠牲になった消防隊員に捧げる作品」と銘打って消防隊員の勇士を描いた作品と同じ感も受けますが・・・
やはりあの絶望的な最中にあって、誰の心をも捉えたであろう、救命にあたった人々の姿。
そして、彼らを送り出した家族たちの思い・・・。
実際、先に観た『ユナイテッド93』の乗客たちよりも、第一陣で救助にあたった警官たちは、テロだ何だと知る間も無く犠牲となっていく。

人の命を奪うのも人間なら、命をかけて目の前の人の命を救うのも人間。
この作品には、命の重みを再確認すること無くして先へは進めないと考えたストーン監督の911への思いが感じられる気がして・・・素直に感動してきました。

9月11日の早朝、いつものように勤務についた港湾警察官のジョン・マクローリン巡査部長(ニコラス・ケイジ)は、WTCに飛行機が激突したらしいとの情報を受け、マクローリンを班長とする救助チームをすぐに結成、現場へ急行する。
現場の余りの惨状に言葉を失う彼らだったが、新人警官のヒメノ(マイケル・ベーニャ)らと共に救出の為WTC内へ入った。
ところが、突然の建物崩壊の為、一瞬の内に彼らは瓦礫の下敷きになってしまう・・・。


実在の人物を演じたニコラス・ケイジとマイケル・ベーニャは、この作品では殆ど瓦礫の中。
時に励ましあい、時に絶望感に苛まれながら・・・
思うのは、いつものように一時の別れを告げて、また仕事を終えれば再会するはずであった愛する家族のこと。
そして彼らを見送った家族もまた、飛び込んでくるニュースに我と我が目を疑い「何故?」っと問う間もなく、現場にいるであろう彼らのことを思い、焦燥し、生還を信じつつも絶望感を否めない。
それは、あの日犠牲になった何千人という人々の家族の縮図。
そんな突然の出来事が起きた時点で、テロに対する政治的観念云々など皆無であり、あるのはただ生か死か・・。
そして、助ける側であったはずの男たちが、助けられる側に回り・・・
その逆転がいつ起こるかもしれない中を、又犠牲者を助けてゆく人たち。

実は職業柄からか、当時の崩壊したビルの噴煙舞う中での救助活動をTVのニュースで見ていて、ウチでもアスベストの不安を話題にしたことがありましたが・・・先月の9月11日のTVの特番でも、WTCで救助にあたった方々が、当時の救助活動の中で、アスベストの影響を受け、現在では健康を害していることを知りました。
WTCは70年代の建造物であることからアスベストの使用は明確です。
にも拘らず当時、政府は救助に向けてその害を明確にしていなかったことも問題となっているようです。
しかし、救助活動により今は呼吸器に障害を持ったその内の1人の男性は、「例え害があると分かっていても、私は同じように救助にあたっただろう」と話されてました。

そんなことも、思い出しながらこの作品を観ていて・・・
家族のドラマは当然のように心に沁みるものだったけど・・・
私が一番心に残ったのは、目の前の命を助けようとする気持ちに理由はいらないこと。
そして・・・
目の前の命を、例えどんな理由があるにしろ巻き添えにすることは、断じて許されないこと。

家族の元へ生還した二人の警察官と救助する人々の姿に、人間の奇跡と希望を感じながらも・・・
その希望を感じることさえできずに、命を絶たれた人々の無念の大きさを、また再確認させられた気もする作品でした。
posted by ラクサナ at 22:18 | Comment(4) | TrackBack(2) | 2006年10月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
シネコンのポイントが貯まっていたので、公開初日に鑑賞いたしました。
命がけで救助にあたられた方が、大勢いたんですね。
救助された2人も、もともと救助に向かった人達ですもんね。

そして、愛する家族がいるということは、生きる力になるんですよねえ。

夫もポイントが貯まっていたのですが、わたしが試写会で見てしまったX−MENを鑑賞。エンドロール始まると席を立っちゃう奴なので、最後にも映像があるからねといっておいたので、ちゃんと見てきたようです。(笑)
Posted by MACHI at 2006年10月13日 12:08
[Em39]MACHIさん

おっと、コレは試写会外の鑑賞でしたか?
それこそいろんな悲しい出来事が数え切れない程起きた9.11のあの日に、こんなドラマもあったんですね。
なんとなく、もうこれ以上感想として言葉も出てこない感の私ですが・・・。
生還された二人の警察官と助けることに全力を尽くした人々のドラマは、きっと忘れえぬものになると思います。

ひゃひゃ〜旦那様、X−MENオマケの映像まで観れて良かった良かった。。。^^
Posted by ラクサナ at 2006年10月14日 23:51
わわっ アスベストですかっ!!
口の中一杯になんだか詰まって、こちらまで息が出来なくなりそうでしたが、それがアスベストとなるとせっかく助かった方々もまたかなり深刻ですね・・これからまた5年10年後に健康被害など出ないといいんですが・・。
あのビルで働いていた一般企業の方などの話も以前TVで見た事がありますが、3000人の犠牲者には3000とおりのドラマがあり、3000個の命の重さも感じつつ・・ご冥福をお祈りしたいです。
また、救助に関わって犠牲になった消防や警察その他の人達のご家族は、あのユナイテッド93の御家族と同じように、こうして映画化することで、悲しく辛くもあるけれど愛する夫や兄弟や息子のその働きを目で疑似体験することで、納得いくこともあるのでは?と思ってます。
Posted by マダムS at 2006年10月16日 21:37
[Em39]マダムSさん


>3000人の犠牲者には3000とおりのドラマがあり・・・

本当にそうだと思います。
映画はそのうちのほんの一部を描くものであって、まだ時期尚早の部分もあるのかもしれないけれど・・・
何年か後に観たとしても、実際に家族を亡くした方々にも何かが得られる作品であるといいですよね。

そういえばこの作品で、最後の救出のシーンで、スティーブン・ドーフが出ていたのも、ちょっとした驚きでした。

Posted by ラクサナ at 2006年10月17日 00:16
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『ワールド・トレード・センター』
Excerpt: ”人命救助”という尊い行為に命を掛けた人々とその家族に捧げる作品。 『ワールド・トレード・センター』 2006年/アメリカ (原題:WORLD TRADE CENTER) 監督:オリバー・ストーン..
Weblog: Brilliant Days
Tracked: 2006-10-16 21:10

「ワールド・トレード・センター」 小さくても力強い善の力を信じたい
Excerpt: 9・11から5年。 まだその時の記憶は生々しく、テロ事件をテーマにしていることも
Weblog: はらやんの映画徒然草
Tracked: 2006-11-24 23:18
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