2007年01月11日

麦の穂をゆらす風

The Wind That Shakes the Barley-1.jpg
あのケン・ローチ監督が、1920年のアイルランドの独立戦争から内乱へと至る近代史を映画化。
昨年カンヌでパルムドールに輝いた作品だし、何よりキリアン・マーフィー主演ということで、これも楽しみにしていた作品です。

同じ近代史を扱った物として、過去に『マイケル・コリンズ』があり、流れは勿論似てはいましたが・・・
コチラは、仮にもヒーローと呼ばれる人物は無く、極々庶民の若者たちが、戦争や内乱に参加していく過程を描いたもの。

しかして・・・
新春二本目の鑑賞作品は、何とも痛ましくむかっ(怒り)ズッシリと重いものになったのでありました。ふらふら
誰か肩もんでください〜!(爆)


1920年、長くイギリスの支配下にあったアイルランドでは、その虐げられた現実から独立に向けての気運が高まっていた。
そんな中、南部の町コークでは、町の独立運動のリーダー格である兄テディ(ポードリック・ディレーニー)の後を追い、医師を志しロンドンへ向かおうとしていたデミアン(キリアン・マーフィー)も又、町の若者たちと共に武器を取り、アイルランド独立を目指す戦いに参加することになってしまう。
若者たちの幾多の血が流れ、ついにイギリスとアイルランド両国の間で講和条約が締結されるのだが・・・
完全な独立からは程遠いその内容に、条約締結をめぐり、アイルランド人同士の間に賛成派と反対派の対立が生まれ、ついには内戦へと発展、それは新たな悲劇の始まりでしかなかった・・・。


The Wind That Shakes the Barley-3.JPGこの作品を観ていると「この人たち一体何やってるんだろう?」と、中盤辺りから全くやりきれない思いでいっぱいになる。
アイルランドの暗い歴史は、過去にも映画でしか知らない世界ではあるけれど、歴史の事実としてよりも、その戦争や内乱というものに普通の人間が入り込んでいく様に惨憺たる思いがする作品だった。

侵略された人々が自由を求めて武器を取り、その先に何があるのか?
今の時代にあっても、ある意味人事とは思えない「あ〜こうなってしまうんだ・・」と、そんな人々の行く末に絶句。
だからと言って・・・当時の彼らに武器を持たずして何ができたんだろう?

The Wind That Shakes the Barley-4.JPGそんな訳で・・・
ケン・ローチの作品にしては、眠気との戦いは今回ありませんでしたが・・・(^^:
本当の意味での戦うということの空しさを全編にたたえた、緊張感の抜けない作品。

少し残念なのは、医師を志したはずのデミアンの思いやスタンス、心の葛藤、兄との関係の深さなんかを表すエピソードや演出が、もうちょっと欲しかった気もするけれど・・・。
でもキリアンの演技は、やはり素晴らしいものでしたね。
そして、本当に素朴な思いでデミアンと共に戦った男、ダンを演じたリーアム・カニンガムも印象深かった。


この作品で2度使われる「私の前に二度と顔を見せないで・・」という女性の台詞。

中盤で起こった幼馴染の少年へのシーン。

そして、ラスト・・・。

悲しすぎて涙も出ませんでした・・・。

posted by ラクサナ at 20:11 | Comment(6) | TrackBack(2) | 2007年 1月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
鑑賞お疲れさまでした・・って声掛けたくなるような作品でしたよね・・肩揉んでさしあげますぅ〜(^^;)
楽しむためでもなく、感動ともまた違う、、けれど、こういうジャンルの映画も必要と思われる作品ですよね?「ミュンヘン」とか「ホテル・ルワンダ」と同じ系列。 ツライけど知るべきっていうか。
私もちょうど一昨日やっと「マイケル・コリンズ」DVD借りてきて観たんですよ!記事にしようかなっと思っております。
出ているの知らなかったのでジョナサン・リース・マイヤーズ見てひっくり返りそうになりましたっ!
Posted by マダムS at 2007年01月18日 09:23
[Em164]マダムSさん

きゃっマダム、怒涛のTB&コメント、嬉しい!
有難うございます。
どの作品もマダムの感想を参考にさせて頂いての鑑賞でしたが、コメントやTBが遅れております。(^^;後でゆっくりと怒涛のコメントをさせて頂きに伺いますので、ヨロシクお願いします。^^

さてこの作品、実は私は鑑賞前に、もうかなり昔に鑑賞した『マイケル・コリンズ』を半分再見しての鑑賞。残りはまだ・・・!(笑;)
そうでしたか・・・・ジョナサン君が出ているとしたら、ラストの方ですよね?

同じ題材の作品とはいえ『麦穂』の方は、目の前の暴力に立ち向かう若者たちの、その後の悲劇が、本当に生々しくって参りました。(>、<)本当に辛いけど、知るべき作品ですね。
でも肩揉んで頂いて楽になりましたので、『マイケル・コリンズ』の後半も又、ちゃんと観てみなきゃ!っと思っております。(笑)ソチラのマダムの記事も楽しみにしておりますね!
Posted by ラクサナ at 2007年01月19日 09:04
本当に辛い作品ですよねっ。
普通の人たちが身近な人々となぜ戦わなければならないのか?
そうまでしても独立に価値があるのか?
今平和な日本に暮らしている私には答えが出ません。
ただ戦うことのむなしさが伝わってきます。
ケン・ローチ監督の意図するところもそこだったと思いますが・・・。

キリアン・マーフィーって、私は「真珠の首飾り」も見ていました。
「バットマン・ビギンズ」も見ていたんだけど、彼がどこに出ているのか分からず、再見して知りました。
結構彼は今までエキセントリックな役柄が多いですよね?
そう言う役だと彼のガラス細工のような目が目立ち、効力を発揮しますが、
この「麦の穂を〜〜」ではその目が余り目立たなくて、普通の青年を好演していたと思いました。私は初めてその彼が良いと思いました。

Posted by 紫の上 at 2007年01月20日 14:51
[Em164]紫の上さん

あ〜そうですね!
そういえば、いつも目立つキリアン君の瞳が、この作品では印象に無いですね。
一人一人の人間を描くよりも、普通の人々により起こる戦争という歴史を描いている感が強い中、キリアン君はうまくその中に溶け込んでいましたね。彼はエキセントリックな役柄も勿論、どの作品を観ても全く違う横顔を見せてくれる、素晴らしい俳優だと思います。
Posted by ラクサナ at 2007年01月21日 01:29
おじゃましまーす。
これの感想をなかなか書くことが出来なくて、やっと書きました。時間がかかったわりには大したこと書けなかったです(^^;)映画を見ながら思ったことは、義勇軍(反乱軍?)の青年たちが、どんなに貧しくともジャケットにハンティング帽子という服装に少々驚いたんですけど、やはりお国柄だからなんでしょうね。とても「痛い」ことの連続でしたけど、兄弟の背景とか、なぜデミアンが医師になれたのかとか、もう少し説明が欲しかったかなと思いました。でも見ごたえありましたね。
Posted by mei at 2007年01月21日 19:30
[Em164]meiさん

キツイですよね、こういった作品の感想って・・・。(__;)
そうそう、冒頭デミアンは医師になるべくロンドンへ向かおうとしていましたが、それって当時のアイルランド人としては、可能なことなんですかね?
この作品、私もデミアンと兄にイマイチ焦点が絞りきれてないという意味では、かなり残念な感は受けました。
どうしても史実を描こうとすると、こうなってしまうのかな〜っと思うし、そんな監督自身の思いもあまりにも大きすぎたのかもしれませんよね。
Posted by ラクサナ at 2007年01月21日 23:45
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Tracked: 2007-01-18 09:16

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Tracked: 2007-01-19 09:11
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