2007年05月16日

こわれゆく世界の中で

Breaking and Entering.JPGイギリスはロンドン。
治安の悪い地域ナンバー1として問題を抱えるキングス・クロスの町の都市再開発と・・・
問題を抱えた子供を持つ二人の女性の間で揺れ動き、自らの愛と居場所を模索する・・・
1人の男の物語。

アンソニー・ミンゲラ作品三度目のジュード・ロウ主演作。
ラブストーリーというより、人の心の複雑な思いが交錯する人間ドラマかな。失恋
台詞がまた微妙にその心象風景を物語って・・・
魅力は脇役にありexclamation&question




ロンドンのキングスクロス。イギリス北部のこの町は失業者や低所得者、移民が多く住み、治安の悪い地域。
そのキングスクロスで地域再開発一大プロジェクトを請け負った建築家のウィル(ジュード・ロウ)は、パートナーのサンディ(マーティン・フリーマン)とそこに事務所を構える。
私生活ではスウェーデン系の映像作家リヴ(ロビン・ライト・ペン)と暮らすウィルだが、リヴの連れ子である娘ビー(ポピー・ロジャーズ)が、自閉症かと思われる心のバランスを崩す症状を呈していた為、二人の関係にも暗い影を落としていた。
そんな中事務所を構えてまもなく、窃盗の被害に二晩続けて遭い、ウィルは事務所の側に車を置き徹夜で張り込みをする。
そして、侵入しようとしていたミロ(ラフィ・ガヴロン)という少年を追いかけるウィルは、突き止めた住まいで少年の身辺を探るうちに、ミロの母親でボスニアからの難民であるアミラ(ジュリエット・ビノシュ)に、心惹かれていくのだったが・・・。


Breaking and Entering-1.JPG帰るべき家庭がありながら欲求不満(笑;)のウィル演じるジュード・ロウと、愛する子どもとの絆が深いゆえに苦しむ二人の女性。
長い間共に生活する男がいても、連れ子である一人娘の精神的な病に苦悩して自分も共依存症のような母親ロビン・ライト・ペンに、ボスニア難民である境遇の母親ジュリエット・ビノシュは、女手ひとつの生活の中での一人息子の動向に苦悩する。
3人の苦悩が丁寧に描かれるも・・・何とも偽善の香りが漂う中に、狐が尻尾をクルリと翻して横切るような・・・
そこにラブストーリーの輝きは無し。失恋

建築家としてプレゼンするジュード演じるウィルの都市開発による町の浄化理論が又偽善っぽくって・・・
何だかこのドラマの全てを語りつくしているような気が・・・。ふらふら
まず建築家ウィルは、その中に入るには、一度壊してしまわなければならないと語っているのですが・・・
キングス・クロスという地域の再開発は、その地域の人々の輪の中に入る為のものではなく、その土地を都合の良いものに変えて、他の裕福な居住者を増やし変えていこうというもの。壊した時点で、低所得層の人々は住む場所を失うのは目に見えている。

そしてウィルは、一緒に暮らして来たリヴ母娘の輪の中に居場所が無かったことについては、
入ってもその輪は、実は自分にとっては檻だったと告白するシーンがあり・・・
結局はキングス・クロスの町も、問題を抱えた家庭も彼にとっては檻、同じものなんじゃないか・・・と。

Breaking and Entering-2.JPGそんな中で、知り合うアミラ演じるジュリエット・ビノシュに自分の心と体の隙間を埋めようとするかのように惹かれるウィル。
この辺りもウィルの多少上からの目線を感じて嫌な気がするのですが、手痛いしっぺ返しを食らうこととなる。
アミラがウィルと関係を持つ時点での、息子に対する必死な思いや辛い立場には心が痛むけれど、このラブシーンは本当に辛いものでしたねぇ。ふらふら

またあまり深く立ち入らないアミラ自身のボスニアでの過去が想像の域でしかない為、ただただ息子のことのみの思いに見えるのが、少し演出不足なんじゃないかとも思います。
そして、希望に繋がるかのように見えるラストも、正直嫌な気がします。
どうしたってアミラ母子もキングス・クロスという町からは弾き出される身の上だものなぁ。
あまり後味はよくありませんが、それが現実ってものなのか・・
一度壊したものは、町も人も元に戻らない気がしますが・・・・。ちっ(怒った顔)


ウィルがアミラに会う以前に登場する娼婦役のヴェラ・ファミーガが、また面白いですね〜何気に助演女優賞をあげたいくらいの存在感。ぴかぴか(新しい)
所詮「アンタはそうなんだから・・・」みたいな指摘を彼女に突きつけられるウィルなんですが、その時点で意味分かってるんだかどうだかのウィル。(笑;)
悩むくせに、訳アリ女性とばかりくっつく男ってアナタexclamation&question(笑;)
でもジュード・ロウは、やっぱり上手いですよね。
嫌悪感をもよおすような役柄も、彼が演じると欲望や偽善もアタリマエの男の悲哀のように感じまする。

Breaking and Entering-3.JPGこんな感想だと、無茶暗い映画の感がありますが、面白く観られたのはヴェラを含めた脇のキャストがいいからでもあります。

体操に才能を発揮するロビン・ライト・ペンの娘ビーの見事な演技に、キングス・クロスのビルからビルへと飛び移り、アクロバット並みの身のこなしを見せるジュリエット・ビノシュの息子役、ミロを演じるラフィ・ガヴロンがまたなかなかに魅力的。ぴかぴか(新しい)
そして、ウィルの同僚のサンディを演じるマーティン・フリーマンが『ラブ・アクチュアリー』のように、いい味を出しております。

という訳で・・・・ある意味疲れたお話。ふらふら
憂うのは・・
町=人間家族・・・ということで・・・
ロンドンのキングス・クロスという町、それが主役の作品って感じかな。

posted by ラクサナ at 22:18 | Comment(2) | TrackBack(3) | 2007年 5月映画鑑賞作品
この記事へのコメント
こんにちはん。
私はこの作品、かなり気に入っているんですが、
それなのにやっぱりラブストーリー部分はしっくりこない部分がありました。
考えてみると、ミンゲラの描く男女の恋愛に心を掴まれたことってあまりないかも・・・。
『コールドマウンテン』も、ジュードとニコールの恋愛パートはイマイチで、、
でも、ニコールとレニーの友情パートや反戦マインドには大いに感動。
『イングリッシュ・ペイシェント』なんかも癒しのビノシュや
人間が大陸に国境を引き、領土を奪い合って戦争をする愚かさ
などに感動したから大好きだけど、不倫部分は印象薄でした。
というわけで、ミンゲラは私にとっては、そういう位置づけの監督で。
今回も、母子パートや街の描き方や、構成や台詞やディテール、
映像や雰囲気がポイントでしたー。
ジュードはうまいけど、少し前にホリディとオールザキングスメンを
観たばかりだったので、ちょっともう食傷気味でしたー。
私はもうちっと爽やかフェイスの人が好みっす。
娼婦の彼女や同僚がよかったですよねー
Posted by かえる at 2007年05月29日 16:34
[Em108]かえるさん

私はアンソニー・ミンゲラのラブストーリーで、良かったと思えるのは、実は『最高の恋人』だけのような気がします。(笑;)
そうなんですよね〜『コールド・マウンテン』も『イングリッシュ・ペイジェント』も、恋愛部分がノレなくて、今作もかなり皮肉な思いを噛み締める内容。
でも私も言葉の持つ意味や雰囲気、人間ドラマと町の持つ意味合いを重ねて描いていく部分は、なかなか見応えがあって良かったと思います。
好きかどうかというと、ちょっと難しいですが・・・(^^;

そういえばジュード君、ここんところ良く出てますよね。
今回はジュード君より、ジュリエット・ビノシュの息子役、ラフィ・ガヴロンに見惚れましたのことよ。
年甲斐も無く・・・・!(笑)
Posted by ラクサナ at 2007年05月30日 18:33
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『こわれゆく世界の中で』 Breaking and Entering
Excerpt: 音楽と映像と心情とウィットに富んだ台詞たちが美しくクロスする ロンドンのキングス・クロス再開発地区でそのプロジェクトを担う建築家ウィルは、恋人リヴと彼女の娘ビーと暮らしていた。ポスターなどを見る..
Weblog: かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
Tracked: 2007-05-24 12:54

mini review 07053「こわれゆく世界の中で」★★★★★☆☆☆☆☆
Excerpt: カテゴリ : ラブ・ストーリー 製作年 : 2006年 製作国 : イギリス 時間 : 119分 公開日 : 2007-04-21〜 監督 : アンソニー・ミン..
Weblog: サーカスな日々
Tracked: 2007-06-04 01:44

こわれゆく世界の中で
Excerpt:  『イングリッシュ・ペイシェント』や『コールド マウンテン』に続く作品としては、公開規模がやや小ぶりなのが少し気になり、一抹の不安を感じましたが、とにかくもアンソニー・ミンゲラの新作ということで映画館..
Weblog: シネクリシェ
Tracked: 2007-06-08 03:31
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