ゾーイ・へラー原作のベストセラーからの映画化。
美しい同僚の女教師の秘密を利用して、彼女に近づいていく初老の孤独な女教師の異常な愛情。
濃厚な人間ドラマになるのか?

ホラーがかったサイコものになるのか?

いや〜やっぱりジュディ・デンチとケイト・ブランシェットの演技が魅せますねぇ〜

両者ともに、ちゃんと感情移入できる人間像を描いていて秀逸。

主に労働者階級の子どもたちが通うロンドン郊外のセントジョーンズ中学校で、歴史を教えるベテランで初老の女教師バーバラ(ジュディ・デンチ)。
彼女には厳格で近寄りがたいものがあり、尊敬はされても周囲からは孤立した存在だった。
ある日、美しく人目を引く美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)が赴任してくる。
そんなシーバに目をつけたバーバラは、秘かに彼女を観察し、それを日記に書きとめる。
慣れない新米教師の彼女を助けたことから親しくなり、彼女との関係に喜びを見出していくバーバラだったが・・・
ある日、シーバの15歳の男子生徒との情事の現場を覗き見してしまい・・・。
初老のお堅い女教師バーバラが例えようもない人生の孤独感を抱えて、それでも残り少ない自分の人生をかける伴侶を得たいという気持ちは、同性愛であるかどうかは別としても、良く判る気がする。
周囲から疎まれているとはいえ、一目はおかれる存在、自尊心が強く、非常に理性的判断ができる・・・
っと自分では思っている。

そんな彼女が書き続ける日記で彼女の独りよがりな鈍感さや狂気がジワジワと露呈される辺りが何ともおもしろい。
勘違い老女のストーカー物語とはいえ・・・身近な恐怖の中に、ブラックな面白みも感じる、
ジュディ・デンチが演じるとこうなりますという卓越した演技はさすが。

やはりケイト・ブランシェットは、演技も見た目もキレイ・・・だわ。

15歳の教え子と関係を持つダラシナイ女としても、不潔さは微塵も感じさせない。
裕福な家庭に育って、スージー&ザ・バンジーズを聴いているパンク少女が大人になって・・・
親子ほどの年齢差の教師とめでたく結婚したものの・・少なからず悩みはある今の生活。
夫役のビル・ナイの、なかなか控えめな演技も良くって、年齢差のある夫婦間の問題も見せてくれます。
バーバラとシーバの年齢差は、ほぼ30歳ぐらい。
初老のバーバラがシーバに抱く想いは、思ったより恋愛感情も含めて描かれていたと思いましたが、
そのぐらいだと、母と娘、姑と嫁、といった関係が思い浮かびますよね。
ってことで、なかなか意味深な年齢差、いずれも年長者は相手に自分の老後を託したいという間柄であることからも、なかなか感情移入させるサスペンス。
ジュディ・デンチのただのイカれた恐いオバサンに見せない演技もさすがですが、年老いた人間が一人で迎える孤独の恐さを思えば、バーバラの人格の恐ろしさより勝る思いがしたのも事実です。

かと言って、勿論憤懣やるかたないシーバの気持ちも良く判る。
シーバがバーバラの実像を知って吐く台詞「ヴァージニア・ウルフ気取りのつもり!?」
2人の対決、それは哀しいけれど・・・・


やはり人間独りでは・・・寂しすぎる。。。
好感を持たれたようで喜んでいます。私はすでに2回も見てしまいました。これは「善き人の」と「BBM」以来のことです。1回目にのめり込み過ぎたかと、見直したのですが、バーバラには一層の可愛らしさを感じてしまいました。どうも、こういう感じ方は少数派のようですが。
おぉ〜2回ご覧になったんですね!
BBMというと「ブロークバック・マウンテン」ですよね?
受け入れられぬ愛憎のもたらす悲劇・・・
ジュディ・デンチの演技も素晴らしく、コチラは身につまされるような思いも感じる作品でしたね。
バーバラの可愛らしさ・・・私もわかる気がしますよ。
コメント有難うございます〜!
もう原作も読まれているんですね!
著者のゾーイ・へラー、この原作は2003年のブッカー賞候補作だそうですね。
なんと、原作では2人は別れていないんですか!?
それはまたドロドロしていますね。[Em144]
この作品を観ていると、それぞれの世代間の相容れぬ思いも描かれていて、それでも繋がりたいという人間の哀れを感じます。
おそらくは年齢からくる衝動に突き動かされたシーバと、年齢を自覚しないバーバラ、その対比も面白いですね〜!
そんな二人を当代きっての演技派女優が演じていて、本当に見応えありましたねっ!
彼らの行動に共感は出来ないけど、心情は同じ女性として、理解できます。
自分の心の中をのぞき込まれたような気がしますねぇ〜。
でも、ホラーよりも怖さを感じさせる、
好きな作品とは言えないけど、秀逸な作品だと思いました。
そうですよね〜女性として、それぞれの孤独感はよく理解できる気がしますが・・・
それに見えてくるのが、とんでもない依存というか、人間の心の闇の部分と言うか・・・どうにも恥ずかしくて醜い部分でしたね〜。
でも、2人の演技があまりに素晴らしくて、映画として見ると気持ちいい感までありました。
特にデンチさんがしたためる日記には、ほくそ笑んじゃう部分もあって・・・
いやもう〜ある意味困っちゃう映画でした〜!(^^;