2005年11月06日

海を飛ぶ夢

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公開時、とても観たかった作品をやっとDVDにて鑑賞。
とにかく素晴らしかった。。。

実在のスペインの詩人、ラモン・サンペドロの手記『LETTERS FROM HELL』をベースに、彼の半生をアレハンドロ・アメナーバル監督が映画化。
主演ハビエル・バルデムの演技も高く評価され、ゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞の外国語映画受賞作品。

1968年、船員として各国を航海していた若者ラモン・サンペドロは、26歳の時、自宅近くの海へ飛び込み、海底で頭を強打、四肢を麻痺する障害をおってしまう。家族の献身的な介護の元、20数年の時を経て、彼は夢に見た自由を得る為死を望むが、四肢麻痺の体では自ら命を絶つこともできない。彼は尊厳死の支援団体や弁護士の手を借り、‘死ぬ自由’を獲得すべく闘いを始めるのだが・・・


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ハビエル自身は現在30代半ばにして、50代を過ぎたラモンと26歳の若きラモンも演じていますが、とにかく彼の演技が素晴らしい!
終始にこやかに微笑む顔に、20数年間の彼の苦悩が凝縮されていて、それでも尚ユーモラスにさえ感じる彼の抗い難い魅力に絶句。
彼が夢の中で自由に自然の中を飛び、海辺へと着地するシーンの素晴らしさは秀逸!(劇場で観たかった)
また彼の協力者として現れる弁護士や支援団体の女性、子供を抱えた独身女性たちのとの関わりにも・・・それぞれ思いは違えども彼を取り巻く家族の一人一人の愛情の深さにも・・・心が震えます。


尊厳死というテーマは深く重く・・・
同じように見える障害や病気を持っていても、決して同じ思いにたどり着くとは言えない。
生活する環境や、それぞれの思いは様々に違い、ましてや健常者の理解は想像の域に過ぎないわけで・・・だからこそこの映画を観て、尊厳死という重く答えの出ないテーマを考えるより、「生きることは何か?人として人を理解することは何か?」を深く考えさせられました。
結果は死であっても、そこにたどり着くまでのラモンの葛藤は、‘生’以外の何物でもない力に美しく満ち溢れているから・・・
死の瞬間までラモンに生きて欲しいと願うのは、この映画に登場する人達と同じように抱かざるを得ないけど・・・ラスト近くに、それまでの一番の理解者であった支援の女性にラモンが優しく言う一言は、観ている私にも切なく響きました・・・。
「君も普通の人と同じだね」


posted by ラクサナ at 21:50 | Comment(13) | TrackBack(6) | 2005年ビデオ&DVD鑑賞作品
この記事へのコメント
私もこれは必ず見たいと思っています。
感想を読んでますます楽しみ(^^)

最近は週に一度レンタル屋さんに行って3枚くらい借りてきます。
まだまだ見たいDVDはいっぱいあるのですが
映画館で新作映画も見たいし、TVドラマもみたいし
(もちろん家事&仕事もしないといけないし ^^;)
なかなか思うようにいかないのですが
ラクサナさんはDVDはどれくらいのペースで見ているのですか?
Posted by Ako at 2005年11月06日 23:52
>Akoさん
是非ご覧になって下さい。
ラモンを始め、周囲の人達の人物描写も魅力的で、暗いばかりの作品ではないですので・・・ただ、涙は終始出まくりでした。。。(・・。

私もDVDは、週に多くて4〜5作品でしょうか。何かしながら仕事しながら、は観たくないですよね。
一日一作品は観たいんですが、そうも行かない日もありますし・・・
あっと、そこに『24』なんてのが入ると、エライことになりますが・・・ん〜〜寝不足寝不足!(^^;
Posted by ラクサナ at 2005年11月07日 21:45
ラクサナさん、こんにちは。
初めてお邪魔します。よろしくお願いします。

いや〜、この作品、本当に素晴らしいんですよね。ラモンの気持ちもわかる(と思いたい)、し周囲の人の気持ちも、勿論わかる。

『死』の意志を固めはじめたラモンの前に、2人の女性が現れて、『生』の煌きを感じる、そのコントラストも見ごたえがありました。

時折出てくる海を飛ぶ夢の映像が美しくて切なくて、涙を誘うんですよね・・・・
Posted by なでしこ at 2005年11月08日 00:27
すばらしい映画でしたよねぇ。
内なる世界で飛ぶシーン、大好きです。
Posted by かえる at 2005年11月08日 18:29
>なでしこさん
お久しぶりです。(嬉)
コメント有難うございます。
なでさんは劇場で観てらしたでしょうか・・・
この映画上映館遠くて、やっとDVD出たら1本しか置いてなくって・・・ホントやっとこさ観れたって感じです。(^^;
期待はあったけど、内容は重くてもこれほどまでに魅力的な作品だったとは驚きました。本当に素晴らしかったです。
アメナーバル監督はさすが、飛ぶシーンの入れ方見せ方が上手いですね〜。一箇所だけラモンが涙を見せた相手が、義姉のマヌエラの前でだけというのも・・・(・・。実際のラモンは誰の前でも涙は見せなかったそうですが・・・・。

>かえるさん
TB&コメント有難うございました。
内なる世界・・・見事に現実から解き放たれたあのシーンは私も忘れがたいものになりそうです。

Posted by ラクサナ at 2005年11月08日 23:16
見たい作品の一つです。
最近”尊厳死”の問題でお断りした仕事が一つあり・・とても考えさられると思います。仕事柄難病の方達を見る事もあり・・・辛い事も色々あります。言葉も話せない方々を見ていると・・このままでいいのですか?自問自答し、家族にもこんな事を書いては怒られるかもしれませが・・・意思のある内に本当の気持ちを聞いてほしいと思わずにはいられない時もあります。是非見て・・自分なりに考えられたらと思います。
Posted by ずも母 at 2005年11月09日 10:11
はじめて書かせて頂きます。

実話の重みはあった様に思います。
尊厳死を広く浅く扱った内容は、自殺志願の客が
観ても、死を連想させない作りは、監督の
センスの良さを感じました。

ある意味、ラブ・ストーリーの様にも思えるし
人間ドラマの様にも思える作りながら、
【尊厳死】を扱った映画の中では、テーマが
分かりやすかった様に思います。

最後は【尊厳死】か?と思える内容ながら
これが現実か・・と思いつつ、見応えのある
作品だったと思います。
Posted by 60式戦車。 at 2005年11月09日 20:27
私も最近見たばかりで、とても胸に重く
残ってます。
父が、脊椎損傷で身動き取れずにいますが、
頭も内臓も健康体なので、このラモンの苦悩は
人事と思えず見てしまいました。
実際に、ことを起こすことは、さておいて、
このラモンの「死こそ前向きな姿勢」という
言葉は、いつも父が言ってることなので、
実感として理解できます。

描き方も慎重に、格調高く描いているので、
以前見た「みなさん、さようなら」のあの
尊厳死が、とても不謹慎に見えてきたんですよ〜
Posted by キウイ at 2005年11月09日 20:42
>ずも母さん
ずもさんはお仕事柄、こういった問題に直面されることも多く、そのご心労も大変なことかと思います。是非ご覧になって感想を伺いたいです。この映画では、ラモンが事故に遭って20数年の間の出来事は語られていませんが・・・
本人も周囲の家族も内に秘めたそれぞれの思いは別として、非常に穏やかに生活を送っている中でのラモンの揺ぎ無い決断。そこに至った過程を想像するとまた胸が痛みます。周囲の人々の思いも丁寧に描かれていて、特にラモンの介護を淡々とこなす兄嫁のマヌエラの愛情、その姿勢には学ぶところが多かったように思います。

>60式戦車さん
お久しぶりです。コメント有難うございました。
私もこの作品、尊厳死というテーマより、生きる姿勢を学んだ気がします。ラスト、あそこまでカメラに収めなければならない現実の過酷さ。単に死に対する救いを安易に求めるものではない、ラモンの並々ならぬ彼なりの自由を欲する決意の深さを、安易な感傷に流されること無く、また知らしめる最期でしたね。

>キウイさん
お父様がそのような病状で苦しんでおられるとは・・・見守るキウイさんの辛いお気持ちに絶句しております。この映画に向けての思いの深さも幾ばくかと・・・。大切なお父様が少しでも心安らかに毎日を過ごされますよう、心からお祈りとお見舞いを申し上げます。

『みなさん、さよなら』、「蛮族の侵入(原題)」ですね。私も以前観て、嫌いな作品ではないですが「なんと贅沢な死に方だろう!」なんて思った記憶が残っております。
尊厳死という言葉の持つ意味、人間の最期の思いも本当に様々ですよね・・・・。

Posted by ラクサナ at 2005年11月10日 09:55
ラモンという人物が非常に魅力的に感じました。
寝たきりで、動く事の少ない演技なのにハビエルの演技は本当に素晴らしかったです。
TBさせていただきました。
Posted by るるる@ at 2005年11月10日 14:54
>るるるさん
ハビエルって本当に凄い人ですね。
なんていうか風景も魅力的で、ハビエルと一緒にカラッとしたラテンの空気感っていうものこの作品を魅力的にしていますよね。
るるるさんの感想も読ませて頂いて、また作品の素晴らしさにふれる思いでした。
コメント&TB有難うございました。
Posted by ラクサナ at 2005年11月10日 17:19
同じ話題でしたので、TBさせていたたきました^^
私は少し辛口な批評ですが、お暇な時にでも読んでみてください。
Posted by YURIKA at 2005年12月03日 20:54
YURIKAさん、TB&コメント有難うございます。
少し辛口な批評、是非読ませて頂きたく、伺いますね!
Posted by ラクサナ at 2005年12月03日 23:12
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